アフォーダブル住宅への扉を開く:ホノルル「Bill 7」条例とは?

·10/16/2023·Bill 7·0 min·

「Bill 7(ホノルル市条例第19-8号)」は、住宅問題に悩むハワイの家族に新たな希望をもたらす画期的な制度です。この法律が、ホノルルの住宅事情にどのような変革をもたらしているのかをご紹介します。

活気ある文化と紺碧の海が出会うホノルルの賑やかな中心部に、オアフ島の喫緊の課題のひとつである「アフォーダブル住宅(低所得者向け賃貸住宅)」という画期的な解決策があります。 Bill 7は2019年にホノルル市条例19-8号として署名され、その後2031年5月19日まで延長された変革的な取り組みです。 ホノルル市とホノルル郡が主導するこの大胆な動きは、地元の不動産事情に変革を起こし、アフォーダブル住宅の確保に苦労している勤労家族に希望と具体的な解決策を提供することを目的としています。 青い海と温暖な気候に恵まれたホノルルは、多くの人が憧れる「パラダイス」ですが、その裏側には深刻な住宅不足という課題があります。

州政府は2025年までに5万戸以上の新たな住宅が必要と推定しています。

ハワイの息を呑むような美しさは、しばしば物価の高さという厳しい現実を覆い隠してしまいます。 多くの家族にとって、この南国の楽園を故郷とするという夢は、アフォーダブル住宅を見つけるという難題によって、陰りが出ています。 家賃の高騰、建築コストの上昇、そして厳しいゾーニング規制が重なり、個人の土地所有者にとって住宅開発はリスクの高い事業となっています。その結果、老朽化した住宅が放置され、新築や改築が進まないまま、地域の住宅供給は停滞し続けてきました。

解決策:「Bill 7」という名の希望

こうした課題に真正面から取り組んでいるのが、2019年に制定された「Bill 7(市条例第19-8号)」です。この条例は2023年に延長され、2031年5月19日まで有効となっています。 Bill 7は単なる法改正ではなく、「誰もが住まいを持てる社会」を目指すムーブメントです。 既存の都市部住宅地(A-2ゾーンなど)において、土地所有者が老朽建物を中高密度の集合住宅に建て替えることを奨励する仕組みになっています。

Bill 7が可能にする「建てやすさ」の秘密:主な優遇措置

この条例では、対象となる住宅プロジェクトに対して、以下のような大きなインセンティブ(優遇措置)が与えられます:

  • 10年間の固定資産税の免除

  • 建築許可申請料の免除

  • 水道・下水道などユーティリティ接続費用の免除

  • 許可審査の迅速化(時間とコストの削減)

  • 建物の高さや敷地境界線からの距離(セットバック)に関する規制緩和

  • 駐車場・自転車ラックの設置要件の免除

  • エレベーターの設置義務なし

これらの優遇措置により、開発コストを大幅に抑え、迅速にアパートを建設することが可能になります。

実現する「アフォーダブル」な暮らし

かつて築古の一軒家だった土地が、手頃な家賃の3〜4階建てアパートに生まれ変わる—Bill 7は、そんなビジョンを現実のものにしています。 土地所有者は、コミュニティの発展に貢献しながら、自らも経済的な恩恵を得ることができます。これは、公共と民間がともに得をする「ウィン・ウィン」のモデルです。

結論

Bill 7は、革新的な政策立案がもたらす現実的な変化の象徴です。政府と民間開発者が連携することで、持続可能かつ包括的な住宅政策が前進しています。 政府機関と民間デベロッパーとの協力を促進することで、この取り組みは、より包括的で持続可能な住宅事情への基礎を築きつつあります。 新たに1戸でも低所得者向け賃貸住宅が建設されるたびに、「すべての家族が安心して暮らせるホノルル」という理想に一歩近づいています。

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  • 天方 エバン

    プリンシパルブローカー / グループ代表

    オーシャンズグループ代表 デベロッパー・不動産投資家・ハワイ州不動産取引主任
    ハワイ不動産の取引に2012年より従事。現在は低所得者向けアパートの開発を中心に売買取引仲介、バケーションレンタル賃貸管理、長期賃貸管理、およびハワイ不動産投資コンサルティング業務を承っています。お気軽にお問い合わせください。日本語・英語いずれも話します。

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